「確定申告のときにまとめて集計すればいいや」と、日々の売上や経費をため込んでいませんか。個人サロンや教室を運営していると、目の前の予約やレッスンに追われて、数字の振り返りはつい後回しになりがちです。
でも実は、月に一度だけ数字を締めて眺める習慣があるだけで、経営の景色は大きく変わります。それが「月次決算」です。特に7月は1年のちょうど折り返し地点。上半期(1月から6月)の売上を振り返り、下半期の作戦を立て直すには絶好のタイミングです。この記事では、これから始める方に向けて、月次決算のやり方を5つのステップでやさしく解説します。
月次決算とは?確定申告との違い
月次決算とは、毎月の売上・経費・利益を月ごとに締めて確認する作業のことです。「決算」というと大げさに聞こえますが、個人事業主の場合は「月に一度、お店の家計簿を締める」くらいのイメージで大丈夫です。
確定申告が「1年分をまとめて国に報告するための集計」だとすれば、月次決算は「自分の経営判断のための集計」です。目的が違います。
| 項目 | 確定申告 | 月次決算 |
|---|---|---|
| 目的 | 税金の申告(義務) | 経営判断(任意) |
| 頻度 | 年1回 | 毎月 |
| 締切 | 法律で決まっている | 自分で決める |
| 効果 | 納税額が決まる | 打ち手が早くなる |
月次決算をしていないと、「気づいたら赤字だった」「繁忙期の実感だけで儲かっていると思い込んでいた」ということが起こります。逆に毎月数字を見ていれば、問題にその月のうちに気づいて手を打てるわけです。
なぜ7月がベストタイミングなのか
月次決算はいつ始めてもよいのですが、7月には特有のメリットがあります。
- 上半期6か月分の実績がそろう: 1月から6月の数字を並べると、月ごとの波や季節性が見えてきます
- 下半期に丸ごと6か月残っている: 立て直しの打ち手を試す時間が十分にあります
- 確定申告の予行演習になる: 上半期分の記帳を整理しておけば、年明けの確定申告が劇的にラクになります
- 夏の繁忙・閑散に備えられる: 業態によって夏は書き入れ時にも閑散期にもなります。直近の数字を見て早めに対策できます
「今年こそ数字に強くなりたい」と思っていた方にとって、7月はやり直しのきく折り返し地点です。
月次決算のやり方5ステップ

ステップ1: 売上を月ごとに集計する
まず、1月から6月の売上を月別に並べます。POSレジや予約システムを使っていれば売上データはすぐ出せますし、会計ソフトに記帳していれば自動で月別集計されています。現金売上・キャッシュレス売上・物販など、種類別に分けられるとさらに理想的です。
ステップ2: 経費を月ごとに整理する
家賃・材料費・広告費・水道光熱費など、経費も月別に整理します。レシートがたまっている方は、ここがいちばんの山場です。経費にできるもの・できないものの考え方は教室運営の経費ガイドで整理しているので、判断に迷ったら参考にしてみてください。夏ならではの支出は夏の経費計上ガイドもどうぞ。
ステップ3: 月ごとの利益を出す
「売上 − 経費 = 利益」を月ごとに計算します。ここで初めて、「売上は多かったのに利益が残っていない月」や「売上は普通でも利益率がよかった月」が見えてきます。
ステップ4: 比較して「なぜ」を考える
数字は比較して初めて意味を持ちます。見るポイントは3つです。
- 前月比: 先月と比べて増えた?減った?
- 月ごとの波: 忙しい月・暇な月のパターンはある?
- 経費率: 売上に対して経費が重すぎる月はない?
「4月は新生活の予約が多かった」「6月は雨でキャンセルが増えた」など、数字の裏にある理由をひとことメモしておくと、来年の同じ時期の予測に使えます。
ステップ5: 下半期の打ち手を1つか2つ決める
振り返りの仕上げは、次の行動を決めることです。欲張らず、まずは1つか2つで十分です。
- 閑散月が分かった → その月に向けたキャンペーンや新メニューを仕込む
- 経費率が高い月があった → 仕入れや広告費の使い方を見直す
- リピート客の多い月が好調だった → 再来店の仕掛けを強化する
「数字を見る → 理由を考える → 打ち手を決める」。この一巡が月次決算の本体です。毎月30分でもこのサイクルを回せると、経営は確実に変わっていきます。
売上は「客数×客単価」に分解すると打ち手が見える
もう一歩踏み込みたい方向けのコツが、売上を客数と客単価に分解して見ることです。
たとえば「6月の売上が5月より落ちた」という事実だけでは、何をすればいいか分かりません。でも分解してみると、原因によって打ち手がまったく変わります。
- 客数が減っていた → 新規集客やリピート促進の出番。予約の空き枠を告知する、既存のお客様に再来店のきっかけをつくる、など
- 客単価が下がっていた → メニュー構成の見直しの出番。セットメニューの提案、物販の強化、単価の高いメニューの案内、など
POSレジや予約システムを使っていれば、客数や客単価のデータは自動で記録されています。月次決算のついでにこの2つの数字も並べておくと、下半期の打ち手がぐっと具体的になります。
さらに余裕があれば、下半期の月ごとの売上目標をざっくり決めてみましょう。上半期の実績という根拠があるので、「なんとなく去年より頑張る」ではない、現実的な目標が立てられます。目標があると、毎月の月次決算が「答え合わせ」になって続けるモチベーションにもなります。
月次決算を続けるコツは「自動化」
正直なところ、月次決算が続かない最大の原因は集計の手間です。レシートと通帳を前に電卓を叩く方式では、2か月目で挫折してしまいます。
そこで頼りになるのがクラウド会計ソフトです。銀行口座やクレジットカード、キャッシュレス決済の明細を自動で取り込み、勘定科目(経費の分類)まで推測して仕訳してくれるので、月次の集計が「ソフトを開いてレポートを見るだけ」に近づきます。
freee会計は、簿記の知識がなくても使える自動化が強みです。月ごとの収支レポートが自動で作られるので、この記事のステップ1からステップ3までをほぼ自動でこなしてくれます。
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よくある質問

Q. 月次決算はいつやるのがいい?
A. 「毎月第1週の定休日」のように、日を決めて予定に入れてしまうのがおすすめです。月初なら前月分の明細が出そろっているので集計しやすいです。
Q. 開業したばかりで数字が少なくても意味ある?
A. あります。取引が少ないうちに習慣化しておくほうが圧倒的にラクです。事業が育ってから始めようとすると、たまったデータの整理から始めることになります。
Q. どこまで正確にやるべき?
A. 経営判断用なので、1円単位の正確さより「毎月続くこと」を優先しましょう。厳密な数字は確定申告のときに整えれば大丈夫です。なお、帳簿づけの義務や保存のルールは国税庁のサイトで確認できます。
まとめ
月次決算は、特別なスキルがなくても始められる、いちばん身近な経営改善の習慣です。
- 月次決算は「自分の経営判断のための毎月の締め」
- 7月は上半期の振り返りと下半期の立て直しに最適な折り返し地点
- やり方は「売上集計 → 経費整理 → 利益計算 → 比較 → 打ち手決め」の5ステップ
- 続けるコツは会計ソフトによる自動化
まずは今週、1月から6月の売上を月別に並べるところから始めてみてください。数字が見えると、下半期にやるべきことが自然と見えてきます。
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