いまの予約システムに不満はあるけれど、乗り換えとなると手が止まる。予約データはどうなるのか、お客様に何と伝えればいいのか。そこが見えないまま使い続けている——という声はよく聞きます。
乗り換えそのものは、順番どおりに進めれば大きく崩れません。逆に、順番を飛ばすと手戻りが出るのがこの作業の特徴です。とくに「予約ページのURLが変わるかどうか」に最後に気づくと、告知をやり直すことになります。
この記事では、乗り換えを決める前の判断から切り替え後の確認までを順にまとめました。どのサービスへ移るかの比較ではなく、何をどの順でやるかの話です。
乗り換えを考えるきっかけと、乗り換えないほうがよい場合
先に、動機の整理からです。
よくあるきっかけ
- 店の規模が変わった。1人で始めたけれどスタッフが増え、指名予約を受けたくなった
- 扱うものが増えた。回数券や月謝を始めることになり、いまの仕組みでは管理しきれない
- 費用が見合わなくなった。使っていない機能の分まで払っている気がする
- お客様の予約経路が変わった。Instagram中心だったのが、LINEからの問い合わせが増えた
共通しているのは、サービスが悪くなったのではなく、店の状況が変わったという点です。開業時にちょうどよかった構成が、1〜2年経って合わなくなるのは自然なことです。
乗り換えないほうがよい場合
一方で、いま動かないほうがいい場面もあります。
設定を見直せば解決しそうなとき。 「使いにくい」の中身が、予約枠の刻み方や営業時間の設定に起因していることは珍しくありません。乗り換えても同じ設定をすれば同じ結果です。まず現状の設定を疑ってみてください。
繁忙期の直前。 移行には二重運用の期間が必要で、その間は予約表を2つ見ることになります。忙しい時期に重ねるとミスが出やすくなります。
先の予約が長期間入っているとき。 3か月先まで埋まった状態で移ると、全部を手で移すか旧システムを長く並走させるかになります。予約が薄い時期を待つほうが負担は軽いです。
上位プランで足りるとき。 同じサービス内でプランを上げれば要件を満たせるなら、データを動かさずに済みます。移行の手間がまるごと不要になるので、まずこれを確認してください。
なお、そもそも「何が要るのか」から整理し直したい場合は、予約システムを選ぶ前に決めておく7項目を先に埋めてみてください。乗り換え先を選ぶときの条件も、そこで決まります。
> → やること: 不満の中身を書き出し、「設定で直る/プラン変更で直る/乗り換えが要る」のどれかを見極める
移行前に棚卸しする4つのもの
乗り換えを決めたら、いま入っているものを先に洗い出します。ここを飛ばして新しいサービスの設定を始めると、あとから「これも移さないといけなかった」が出てきます。
1. 予約データ(確定済みの先の予約)
まず、いま何件の予約が、いつまで入っているかを確認します。
新しいサービスに自動で引き継ぐ手段は、多くの場合ありません。先の予約は手で入れ直すか、旧システムで消化しきるかのどちらかになります。件数が10〜20件程度なら手入力でも現実的ですが、3か月先まで数十件あるなら、消化を待つほうが早いこともあります。予約表を印刷するか画面を保存しておくと、移し替えのときに確認しやすくなります。
> → やること: 先の予約の件数と最終日を確認し、「手で移す/消化を待つ」を決める
2. 顧客情報
氏名・連絡先・来店履歴・カルテ情報などです。
エクスポートできるなら、乗り換え前に必ず手元へ出しておいてください。 解約したあとでは取り出せなくなることがあります。これは乗り換えの成否にかかわらず、バックアップとして持っておく意味があります。
なお、顧客情報は個人情報です。出したファイルの置き場所と、不要になったあとの扱いも決めておいてください。共有フォルダに置いたまま忘れる事故が起きやすい部分です。
> → やること: 顧客情報をエクスポートして手元に保存し、保管場所と削除の時期を決める
3. メニュー設定と営業時間
メニュー名、所要時間、料金、営業日、受付締切、キャンセル規定。
これらは移行ではなく、作り直しになる前提で考えてください。 サービスが違えば設定項目の作りも違うので、そのまま移せるものではありません。
いまの設定を書き出しておくと、新しいサービスでの設定が早く終わります。スクリーンショットで十分です。もう使っていないメニューを整理する機会にもなります。
> → やること: いまのメニュー・営業時間・締切設定を書き出す。ついでに不要なメニューを整理する
4. 予約ページのURL
ここが最大の分岐点です。
予約ページのURLは、サービスごとに発行されるものがほとんどです。つまり乗り換えるとURLが変わります。そして、そのURLは次のようなあちこちに貼られています。
- Instagramのプロフィール欄
- LINE公式アカウントのメニュー
- ホームページの予約ボタン
- Googleビジネスプロフィール
- 名刺・ショップカード・店内のPOP
- 過去に送った予約確認メールの中
Web上のリンクは差し替えられますが、印刷物は差し替えられません。 名刺やカードにQRコードを載せている場合は、在庫の扱いを先に決めておいてください。
自分のホームページに予約ページを埋め込んでいる場合は、ホームページ側のURLが変わらないので告知の負担は軽くなります。
> → やること: 予約ページURLを貼っている場所を全部書き出す。印刷物がある場合の扱いを決める
エクスポートできるか確認する

棚卸しが終わったら、それぞれが手元に出せるかどうかを確認します。ここで手順が大きく分かれます。
確認する場所は、いま使っているサービスの管理画面と公式のヘルプページです。 「エクスポート」「ダウンロード」「CSV」といった言葉で探すと見つかります。見つからないときは、サポートへ問い合わせるのが確実です。
なお、サービスごとに対応状況は違いますし、仕様は変わります。この記事で「どのサービスが何に対応しているか」の一覧は載せません。必ずご自身の管理画面で確認してください。
エクスポートできる場合
顧客情報をファイルで手元に出せます。新しいサービスがインポートに対応していれば取り込めますし、対応していなくても、手入力の元データとして使えます。
出したファイルは、移行が完全に終わるまで消さないでください。切り替え後に抜けに気づくことがあります。
エクスポートできない場合
画面から手で写すことになります。件数が多いと現実的でないので、顧客情報は旧システムに参照用として残し、新しいサービスには来店のたびに登録していく進め方もあります。
この場合、解約のタイミングを慎重に決めてください。解約すると過去のデータが見られなくなることが多いためです。月額が発生していても、しばらく並走させたほうが安全です。
> → やること: 顧客情報・予約データがエクスポートできるかを管理画面で確認し、できない場合は旧システムをいつまで残すか決める
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切り替えの進め方
5. 切り替え時期は繁忙期を避ける
移行には、設定・確認・告知の時間が要ります。予約が薄い時期を選んでください。 年末年始や年度替わりの直前は避け、連休明けなど予約が落ち着くタイミングが向いています。
もうひとつの目安は、先の予約がいちばん少なくなる時期です。棚卸しで確認した「最終日」から逆算し、予約が途切れる週があればそこが候補になります。
> → やること: 予約が薄く、先の予約も少ない週を切り替え日に選ぶ
6. 二重運用の期間を決める
いきなり全部を切り替えるのではなく、期間を区切って両方を動かすのが安全です。
進め方の一例です。
1. 新しいサービスの設定を終え、自分でテスト予約を入れて動作を確認する 2. ある日を境に、新規の予約は新システムで受ける(予約ページのリンクを差し替える) 3. 既にある予約は、旧システムのまま消化する 4. 旧システムの予約がすべて終わったら、データを出し切って解約する
この形にすると、お客様に「予約を取り直してください」とお願いせずに済みます。すでに予約している方は何もせず、次回から新しいページを使ってもらう形です。
二重運用の期間は、先の予約の最終日までが目安です。長く感じるかもしれませんが、その間は予約表を2つ見るだけで、作業が倍になるわけではありません。
> → やること: 「新規は新システム/既存は旧システム」の切り替え日と、旧システムの解約予定日を決める
既存のお客様への告知と、切り替え後にやること
告知に入れる要素
予約ページのURLが変わる場合は、お客様への案内が要ります。入れる要素は4つです。
- いつから新しいページになるか
- 新しい予約ページのURL(またはリンクの場所)
- すでに入っている予約はそのまま有効であること
- 何か操作をお願いする必要があるかどうか(基本は「ありません」)
3つ目と4つ目が抜けると、「予約が消えるのでは」と心配させてしまいます。変わらない部分をはっきり伝えるのが、この告知でいちばん大事なところです。
伝える場所は、来店時の口頭、予約確認メールへの一文、InstagramやLINEの投稿など、普段の経路で十分です。全員への個別連絡は要りません。
リンクの差し替え
棚卸しの4で書き出した場所を、順に差し替えていきます。
- Instagramのプロフィール欄
- LINE公式アカウントのメニュー
- ホームページの予約ボタン
- Googleビジネスプロフィールの予約リンク
LINEを予約の主軸にしている場合は、連携の設定もやり直しになることがあります。対応状況はサービスごとに違うので、LINE予約に連携できる予約システムの比較で確認しておくと、切り替え後に慌てずに済みます。
切り替え後の確認
必ず自分でテスト予約を入れてください。 設定した本人が通しで試すのが、いちばん確実です。見るところは3つです。
- 予約が正しい枠に入るか(所要時間・締切の設定が効いているか)
- 確認メールが届くか、文面が自店のものになっているか(テンプレートのままになっていないか)
- スマートフォンから見て操作しづらくないか
確認メールの文面は見落としやすい部分です。サービス名や旧店舗名がそのまま残っていることがあります。お客様が最初に受け取る文章なので、必ず目を通してください。 テスト予約は確認後に削除しておきます。
> → やること: リンクを全部差し替え、テスト予約で枠・確認メール・スマホ表示を確認する
よくある質問

Q. 予約データを新しいサービスに自動で移せますか。
多くの場合、予約そのものを自動で引き継ぐ手段はありません。先の予約は手で入れ直すか、旧システムで消化するかになります。顧客情報は、エクスポート・インポートに対応していれば移せることがあります。管理画面で確認してください。
Q. 旧システムはいつ解約すればいいですか。
先の予約がすべて終わり、必要なデータを手元に出し切ってからです。解約すると過去のデータを見られなくなるサービスが多いため、月額が発生していても急がないほうが安全です。
Q. 予約ページのURLが変わると、お客様は混乱しませんか。
「すでに入っている予約はそのまま有効です」「操作は不要です」を明記すれば、大きな混乱は起きにくいです。変わらない部分を先に伝えるのがコツです。名刺やショップカードにQRコードを載せている場合は、在庫の扱いを先に決めておいてください。
Q. 移行にどれくらい時間がかかりますか。
設定と確認だけなら数時間から1日程度です。ただし二重運用は先の予約が消化されるまで続くので、全体では先の予約の最終日までを見ておいてください。
まとめ
予約システムの乗り換えは、順番を守れば手戻りを減らせます。次の流れで進めてみてください。
- [ ] 不満の中身を分解し、「設定で直る/プラン変更で直る/乗り換えが要る」を見極める
- [ ] 先の予約の件数と最終日を確認する
- [ ] 顧客情報をエクスポートして手元に保存する(保管場所と削除時期も決める)
- [ ] メニュー・営業時間・締切設定を書き出す
- [ ] 予約ページURLを貼っている場所を全部書き出す(印刷物の扱いも決める)
- [ ] エクスポートの可否を管理画面で確認する
- [ ] 予約が薄い週を切り替え日に選ぶ
- [ ] 「新規は新システム/既存は旧システム」の二重運用期間を決める
- [ ] お客様へ告知する(すでにある予約は有効・操作は不要を必ず入れる)
- [ ] リンクを全部差し替え、テスト予約で確認する
- [ ] 旧システムのデータを出し切ってから解約する
乗り換え先をこれから選ぶ方は、条件に合う入口から見てみてください。費用を抑えたい方は無料から使える個人サロン向け予約システムの比較、主力2社で迷っている方はfreee予約とSTORES予約の比較、料金の相場から見直したい方は予約システムの料金相場の比較が参考になります。
そもそも何が必要なのかから整理し直したい方は、予約システムを選ぶ前に決めておく7項目を先に埋めてから比較に戻ると、判断が早くなります。
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